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例会・イベント情報(終了)

  • 07月
  • 22
  • 2019

南支部7月度例会「 三代目として引き継ぐ道」~持続可能な未来をめざして~

報告者/出野哲也さん 丸福産業㈱ 代表取締役(南支部)

出野さんは、1947年にお祖父様が創業された丸福産業㈱に2000年に入社されます。
2006年に専務取締役に就任され三代目を目指されますが、経営者としての知識はなく、経営者としての勉強をするために2007年自ら同友会に入会されます。
翌年「人を生かす経営」実践道場を受講され、まずは労働環境の整備に取り組まれます。
しかしそう簡単に組織化は進むものではなかったそうです。2014年に同友会南支部支部長に、そして同年に事業を承継され本格的に組織作りに取り組まれます。
就任後5期を迎え自社の強みをより明確にし、邁進される出野さんの現在の課題や今後の展望についてお話頂きます。

報告者 出野哲也さん 丸福産業㈱ 代表取締役(南支部)
日 時 2019年7月22日(月)午後6時30分~9時頃
会 場 京都テルサ
会場住所 京都市南区東九条下殿田町70
電話番号 075-692-3400
参加費 不要(別途懇親会会費予価4,000円程度)
参加者まとめ 南支部例会「三代目としての引き継ぐ道」

7月21日、京都テルサにて南支部7月度例会が開催されました。


報告者は東南地域会長も務めておられる丸福産業㈱の出野哲也さんです。

機械工具商の三代目として5年前に事業承継され、同友会との出会い、学び実践してきたことをご報告いただきました。

冒頭で、原点である友人経営者からの言葉を紹介されました。
「社長になった瞬間に、会社の全責任を負うということ、自分一人で抱え込むな、人を頼れ、それが責任を取ること」

創業者である祖父に憧れ、丸福産業を継続させていくには自分が継ぐしかないと考え、機械商社に就職。6年間、営業を経験し丸福産業に入社されます。
当時の会社は、商社に関わらず営業ノルマや粗利管理の概念もない旧態依然の会社でしたが、先ずは会社のOA化を進め、会社での存在感を示すため数字を求め営業に邁進されます。

35歳の時に専務取締役に就任、まもなく経営とはどのようなものか疑問を感じ始めた折に、お客様からの勧めで2007年に同友会に入会されます。とにかく経営を学びたい出野さんにとって、同友会の入会が転機になったそうです。
その後、2008年にリーマンショックの影響で5期連続の赤字を経験。会社として打開策を探りますが、組織的ではない会社体制に納得できず、売上が会社での地位を築くと考え、営業に専念されます。

そんな厳しい状況の中、思い出した友人からの言葉「人を頼れ」、当時は「人に頼ることは外部のプロに頼る」のだとの考えで、社員はどう動かしていこうとしか考えていなかったようです。しかし専務の立場でも責任は自分にあると考え、経営指針の作成に「人を生かす経営」実践道場へ参加し、就業規則や賃金体制の整理を含めた社内改革、営業戦略について同友会の方との協力のもと地道な改革に取り組みます。

2014年代表取締役に就任と同時に南支部支部長に就任。会社の黒字化を目指す中、苦渋の決断で年末の賞与カットを行います。年明け気持ちの重い中、社員からの一言「会社があっての我々です。もう一度頑張りましょう」。その言葉で経営者の重圧で凝り固まっていたものが解け、会社の存続を社員が考えていると初めて実感されます。

ある日、自身で販売経験のない特殊な商品を社員が販売する出来事がありました。その時、初めてプロは外部だけではなく社内にもいることに気付き、「人を頼ることとは社員に頼る」ということにも繋がったそうです。

三代目として会社を承継され、経営者としての学ぶ姿勢、そして気付きの多さ、本当に素晴らしい経営者だと感じました。

よく営業は数字にしか興味がないと思われがちですが、売上・粗利のない会社は生き残れません。そのことをしっかりと認識され柔軟な考えや姿勢もある中、あえて営業の厳しく、孤独な世界に身を投じる出野さんは、形だけではない経営者としての資質と責任感の備わった方ではないでしょうか。

現在では本社の他、彦根支店や栗東支店を開設し、新規開拓チームの立ち上げや社員もお客様も巻き込んだ事業展開をなされてるそうです。

今回の例会では、会社の規模や状況、また業種により経営者の役目は異なる事を学び、同時に経営者としての自身の「兜の緒を締める」、そんな強い気持ちにさせる例会でした。

(四宮燦成 南支部)